倒伏軽減剤ロミカ(ウニコナゾールP)と穂肥の混合(浪岡)
農薬事業部と肥料部の交渉打ち合わせ2ヵ年
施肥時期を幼形期へ前進と決め日植協試験へ
1988SDF21→1989地域区分21、21(H)、14公的研究機関:「コシヒカリの穂肥は-18日~に、ササニシキは-15日~に決まっている」(固定概念)
1991(28) 関東以西のコシヒカリなど
1992(21) 福島・新潟など北陸地域のコシヒカリなど
1992(14) 東北のササニシキ、暖地の転作あとコシヒカリ
基本方針は、基N減、幼形期施用(葉色3.5-コシ、4.0-ササ)水管理など基本技術を厳守、良質多収。
当時の品種、産米事情:新潟のコシヒカリ米戦略(米余りの中での売り手高値販売)に触発されて、コシヒカリ、ササニシキ神話のただ中(日本の稲作を担う力もないコシヒカリが、欠陥もちのまま、流通人気で日本を制圧)(K氏ら、H5)
西の(28):-18~30日遅まき、または分施
東の(21):-35日早まき希望
北の(14):-15日のこだわり、あきたこまち-25日へやがて一部で、穂肥II多施、含んで穂肥一発化へ、銀泉との混
(56):'89試 '93から販売
(42):'92試 '94から販売 →(35):'95試 '97から
コシヒカリ 54万ha、ササニシキ20万haから1.5万haへ
ヒノヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまち:10万ha台へ
収量より品質競争(米選強化)、食味重視へ
参照:第2話「作付面積の図」
スミショートのねらいは変わっていないが、中味としては、(21)、(14)が伸び、(56)(42)は伸びず、むしろ、(28)(21)が一発の役割、(35)も局地化。
参照:第5話「粒厚」
いもち病弱:おおむね克服された。
1974、80、88、93年に大発生、だが、発生予察事業の整備、葉色票利用診断減肥、苗箱施薬、オリゼメート予防剤(1977~)の使用による葉いもち防除の効果で、穂いもち防除がらくに。
倒伏弱:栽培技術の改善(減N)、倒伏軽減剤の併用、コンバインの倒伏稲刈りおこし性能などで、かなり改善されたが、まだまだ大面積のコシヒカリを栽培するのは大変。
農家のことば:「コシヒカリだけは農家をだまさなかった」「スミショートでコシヒカリつくりが楽になった」
良質米生産 機械化移植収穫技術(新潟等3県 1974~1982)
基N減、葉色診断技術、-18日、-10日穂肥、+5日
実肥早期中干し(地耐力)、間断かん水、落水期延長
穂数400本、3.0~3.1万粒、21.5g 玄米N1.3%、1.8mm 570kg
の大きさの稲で、倒伏80度→45度に強化したもの。※
参照:第7話
これが、1981→86の540kg台への収量急上昇を達成
北陸農試、姫田場長、農研西山室長に、コシヒカリが生まれ変わった、生育制御技術の精華といわせた。
(スミショートは、※に対しても、1.1~1.6段階(23度×1.1~1.6=25~35度))
倒伏が軽くなっている。
参照:第9話
その後、食味重視時代化。新潟は、380本、2.8万粒22g、玄米N 1.0~1.1%、1.85mm540kgに修正、極度の生育制御型とし、穂肥II減N、実肥廃止、極限状態における良食味生産化、そのため作付面積の急増もからみ、きゅうくつな経営管理、1990~収量または品質が不安定化。(気象、地力発現で生育量が限度を超えた場合の対応力弱化)
基N減、-30~-24日の葉色票は県指針並、穂肥が-25日に前進し-25~20日の幅がある。
中期肥切れによる稲体の活力低下がなく、下位節間での挫折倒伏なく、穂肥は早めに打ち切れる。経営規模増大への対応力あり(診断も大まかで可)。
・H9、10(1997、98) コシヒカリばらつき、極上(80~)は1998>19971997:優良(75~79)が主1998:極上と優良が主玄米たん白が増加すると、食味値は低下する((-)の相関)極上はたん白6%台、優良は7%以下。
・H12(2000)コシヒカリ
極上 3点だけ 優良が大部分だが、中でも75~77の下位の優良が主体で、78~79の優良は12点だけ
玄米たん白が6.5%以下が食味値78~80
地域によるばらつきが極大、玄米たん白が高く、食味値良~並の地域がかなり多い。
コシヒカリ以外の品種は、良くない。たん白%7.0%~8.6%、また、水分10~13%という状態で、これは食味を大事にして管理しているとは思われない。
参照:第10話
・H13(2001) コシヒカリ54点だけ
77以下の優良と74以下の良が主。78~79の優良も9点だけ、極上なし。ここでも78~79の優良はたん白%6.5%以下、たん白%が少ないことが食味値を高めるポイント。
参照:第13話
1997 H9 |
'98 H10 |
2000 H12 |
2001 H13 |
平均値の傾向 | |
---|---|---|---|---|---|
点 | 47 | 17 | 49 | 54 | (N県スミショート) |
TN kg | 6.1 | 6.0 | 6.1 | - | 次第に低下または、新しい農家にスミショートを普及し、本来の使用が守られていないのか |
収量 | 559 | 568 | 579 | - | |
食味値 | 78 | 78 | 77 | 76 | |
たん白 | 6.9 | 6.9 | 6.7 | 7.3 |
スミショート穂肥で倒伏させないだけでは食味極上にはならない。
極上(80~)、せめて優良(78~79の)になるには、水分14.5~15.5%、たん白6%~6.5%を目標にすべき。
基肥Nは少なく、スミショートの次の穂肥Ⅱは多すぎ、遅すぎないこと、T-Nで6~6.5kgが限度。(14)では穂肥Ⅱが多くなるが、穂肥Ⅱの少ない(21)よりも、たん白が多くなっている。砂地の(35)は少数例だが、たん白は少ない。
参照:第11話
玄米N1.2%(たん白7.1%)のコシヒカリ栽培こよみ・・これは、新潟のたんぱく6~6.5(N1.0~1.1)に比べると、ちょっと甘い目標。
せめてこれくらいをねらう。穂ぞろい期のSPAD値を30をめどに!とすれば、N1.0~1.1にも接近可、(それには、過大な総籾数をつけないように、初中期を小型に制御することが必要。減肥づくりでもスミショートづくりは適度に肥培管理容易のはず。
食味競争:コシヒカリを超える品種はまだない(一類銘柄でコシヒカリ、それ以外では宮城ひとめぼれが1例るだけ)
食味・特Aランクも厳しい条件。
JAS法で(内容表示)いよいよきびしい
(新潟が日本基準表示<新潟コシヒカリ>をはじめた)。
そのような環境の中で、スミショートで極上が少ない作り方では、いろいろと問題が出てくる。
コシヒカリは倒伏しやすい虚弱児。しかし、それをカバーするには、施肥技術の変化をみても、スミショート穂肥は大事な技術。穂肥肥料の利用率は60%(基肥の被覆肥料、側条施肥並みで環境にもやさしい。
以上
'01/11/19