國武先生のコシヒカリ物語

~コシヒカリが世に出るまでから
今日的問題まで~

第10話 スミショート穂肥とコシヒカリの食味

コシヒカリの一般的な穂肥時期

コシヒカリは下位節間が長く長稈化して倒伏しやすいので、一般に、基肥を減肥し、穂肥は下位節間の伸長期を避けて、-18日以降-10日以前に2回分施するようになっている。

スミショート穂肥時期

スミショートは、倒伏軽減剤ウニコナゾールPを含む化成肥料である。下位節間伸長期に施肥しても節間を短縮して短稈し、幼穂形成期(-25N-20日)に早目に穂肥を施す。穂肥?は、スミショート14ではスミショート穂肥日の約7日化するとともに、稈基部を重く上位葉身を立てて受光態勢を良くする働きがある。したがって、基肥を減肥後、21では約10日後、28では12日後または0、35では0(-発)となる。

スミショート穂肥の玄米の食味成分

多くのサンプルを寄せられた、H9、H10年産の新潟・福島・山形産について、その食味成分を分析した。H9では優良なものが最も多かった。H10では極上と優良なものが大部分を占めた。極く少数だが、良、劣のものもあった。食味値を左右したのはたんぱく質含量であった。極上のものはたんぱく質6%台(Nで1.0~1.1%)、優良のものはたんぱく質7%くらい(Nで1.2%)であった。それ以下のものはたんぱく質7.5~8.5(Nで1.3~1.4%)であった。 たんぱく質含量が多く食味成分を下げたものは、10a当り施N量が6.9kg以上のもの、穂肥?の施N量が1.8~2.0kgのものであった。

スミショート穂肥で極上、優良の食味成分に保つには、基肥減肥と、穂肥?を多施しないことが肝要である。一発穂肥のスミショート35では、基肥を減肥し、総量6kg以下になるようにすればよい。

まとめ

スミショート穂肥は、倒伏を軽微にし、粒厚を厚くする利点があるので、基肥を減肥し幼穂形成期に穂肥を早め、穂肥?も早めになり、穂肥?を過用しなければ、食味を良く保持する効果が期待できる。むやみな多収穫を狙わないことが食味向上には大事である。

図)スミショートのやり方と食味成分の変化(H9,H10、コシヒカリ)
図:スミショートのやり方と食味成分の変化(H9,H10、コシヒカリ)

新潟、山形、福島:
H9:86, H10:108,  慣行H9:3,H10:13
分析:住友化学、ケットAN-800型

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