フセキワイドフロアブル

有効成分と作用特性

Ⅰ.有効成分と作用機作

ピリダクロメチルとイミノクタジンアルベシル酸塩の化学的性質比較表。化学名、構造式、LogPow、水溶解度、蒸気圧、作用機作、特長を項目ごとに示している。

①ピリダクロメチルの作用機作

作用機作:微小管の機能阻害

ピリダクロメチルは、糸状菌の微小管を構成するチューブリンに結合し、その動態を変動させることにより殺菌作用を示すと考えられています。その結合部位はチューブリン2量体が重合、脱重合する際の界面付近であると考えられています。

また、チューブリン重合阻害剤であるベンズイミダゾール系殺菌剤の活性本体カルベンダジムとは異なる部位に結合することから、 ベンズイミダゾール系殺菌剤とは交差耐性を示さないと考えられます。

微小管とは

真核生物における細胞骨格の1つで、α-チューブリンとβ-チューブリンによる2量体を基本単位にした繊維状の構造物です。
この2量体の重合、脱重合により伸長、短縮を繰り返し、細胞分裂や細胞の形態維持などに重要な役割を果たしています。

②イミノクタジンアルベシル酸塩の作用機作

イミノクタジンアルベシル酸塩には、少なくとも2つの作用(①脂質生合成阻害、②細胞膜の機能阻害)があることが確認されています。

2つの作用を有することで、耐性菌が発生しづらいと考えられます。
1983年にイミノクタジンが発売されて以来、耐性菌の報告例の無いことがそれを証明しています。

Ⅱ.抗菌スペクトラム

フセキワイドフロアブルの登録病害に対する各成分の抗菌スペクトラム

Ⅲ.病原菌の生活環と作用ポイント

フセキワイドフロアブルは、病原菌の生活環における分生子発芽以外の全てのステージを阻害し、殺菌作用を示します。

Ⅳ.治療痕

ピリダクロメチルは予防効果に加え、治療効果(菌糸伸長阻害効果、分生子形成阻害効果)を有します。

本剤を治療的な条件で散布した場合、既に形成された病斑は治療痕として消えずに残る場合がありますが、治療痕では病原力は失われており、この後、病斑が拡大したり、分生子が形成されることはありません。

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