早生品種の「日川白鳳」を中心に、「ちよひめ」「あかつき」など60haのももを作付するJA板野郡管内。春にんじんの生産量日本一としても知られるこの産地では、水はけの良い園地で品質の高いももが栽培されています。
しかし2年前の夏、ももの園地に深刻な事態が発生しました。
「2年前に、クビアカツヤカミキリという外来種のカミキリムシの被害が県内で初めて確認されました。幼虫がわずか数匹でも、樹に食入して内部が食い荒らされると、ももの樹そのものが枯れてしまうんです」と話すのは、JA板野郡の吉川課長。今までは有効な対処法がなく、被害状況も深刻だったと言います
「卵からふ化した幼虫が樹の中に食入し、2~3年樹の中で摂食活動をした後、さなぎ・成虫化するのですが、食入孔に針金などを入れて刺殺することぐらいしか対処方法がなく、被害の拡大は止められませんでした」と吉川課長は振り返ります。JA管内では昨年、その被害樹が増加し、やむなく樹を伐採する園地があとを絶たなかったことから、県をあげてその対策に乗り出しました。
しかし、この危機的な状況に、今年(2017年)の3月、大きな変化が訪れました。ノズル式の殺虫剤ロビンフッドが「もも」のカミキリムシ類に適用拡大され、ももの樹幹に直接噴射できるカミキリムシ殺虫剤としてJA管内に導入されたのです。
「待望の適用拡大だったので、すぐにJAだよりに載せて、管内のももの生産者に配布しました。その後ロビンフッドはあっという間に広がり、ほとんどの園地で使用されています。食入孔に直接噴射することで、的確に殺虫できる。被害の拡大が軽減して本当に助かっています」。
そう被害状況を話す吉川課長は、ロビンフッドによる防除のポイントを教えてくださいました。
「幼虫が樹幹の奥深くに食入してしまう前の、早めの防除が大切です。フラス(木くずや糞が混じったもの)が出ている食入孔を見つけたら、針金などでフラスをかき出し、薬液を噴射しながら食入孔にノズルを差し込んでいくと、上手に奥まで届きます」。
また、もものほかにも、すもも、うめ、さくらの樹といったバラ科の樹木にも使えるので便利、と話す吉川課長。「これからはロビンフッドをうまく活用して、クビアカツヤカミキリを産地から撲滅していきたいですね」と抱負を語ってくださいました。