國武先生のコシヒカリ物語

~コシヒカリが世に出るまでから
今日的問題まで~

第14話 平成12年産スミショート施用品種の食味成分分析結果(その2)

コシヒカリ

1)新潟(鷲尾)、山形、タテノ分、茨城、群馬、岡山、広島産52点(スミショート39、SSR一発4、慣行9)の中、
極上(スミショート【21】1、SSR1)2、
優良A(食味値78~79)7(【14】1、【21】4、SSR1、慣行1)、
優良B(食味値75~77)14(【14】6、【21】6、【35】1、慣行1)、
良(食味値70~74)20(【14】10、【21】5、【28】3、【35】1、慣行1)、
普通(食味値65~69)は9(【14】1、SSR8)であった。
2)食味値と関係が深いのはタンパク(%)で、極上および優良Aは6%台であった。良→普通はタンパク(%)が高かった。また、普通区分のものは過乾燥(水分10.8、12.3%)であった。

品種 食味値分級 産地等 点数 食味値 水分
タンパク
収量
kg/10a
N施用量(/10a)
総量
kg
基肥
kg
追肥
kg
スミショート
kg
穂肥II
kg
コシヒカリ 極上 80~ 新潟W 1 80 15.2 6.2 - 6.5 3   【21】2.1 1.4
優良 78~79 新潟W 1 79 15.2 6.5 - 6 3   (有) 3.0  
75~77 3 77 14.8 6.7 663 5.5 3.6   【14】1.4 0.5
優良 78~79 山形 3 78 15.7 7.1 - 5.4 3   【21】2.1 0.3
1 78 15.3 6.6 - 5.4 3   【14】1.4 1
75~77 3 75.7 14.7 6.9 - 5.1 東 3   【21】2.1  
2 76 15.3 7.2 - 5.4 3   【14】1.4 1
1 76 16.1 7.5 - 6.5 東 3   【35】3.5  
70~74 3 73.3 14.7 7.3 - 5.7 3.1   【14】1.4 1.2
70~74 タテノ
(伊藤)
2 73.5 14 7.2 600 5.8 2.6   【21】1.8 1.4
2 71.5 14.1 7 600 7.1 3.6   【28】2.8 0.7

(伊藤 ・千葉)
2 73 14.4 7.4 600 5 2.9   【14】1.4 0.7

(伊藤)
1 74 14.2 7.1 570 5.6 SSR5.6      
極上 80~ 広島 1 81 18.8 6.6 500 5.6 SSR5.6      
優良 78~79 1 78 19.9 7.4 500 5.6 SSR5.6      
75~77 1 76 14.7 6.9 580 3.4 2   (ア) 1.4  
優良 78~79 広島 1 79 15.3 6.4 550 6.1 4   【21】2.1  
75~77 1 75 14.7 7 560 6.6 3.5 (有)
1.0
【21】2.1  
1 77 14.8 6.6 - 4.1 SSR5.6   【14】1.4  
岐阜 2 75.5 14 6.7 635 7.2 SSR5.1   【21】2.1  
70~74 岐阜 2 73.5 14.3 7.2 554 7.5 SSR4.7 0.7 【21】2.1  
1 72 13.3 7 510 7.7 SSR4.2   【35】3.5  
茨城 1 71 13.7 7.5 720 5.8 3   【28】2.8  
広島 1 74 14.7 7.3 560 6.6 (有)3.5 1 【21】2.1  
岡山 ・広島 5 71.4 14.9 7.1 (593) 6.2 SSR4.8   【14】1.4  
普通 65~69 岡山 1 69 12.3 7.2 540 7 SSR5.6   【14】1.4  
群馬 8 65.9 10.8 7.2 570 5.4 SSR5.0   0.1 0.3

施用チッソ総量との関係については、極上、優良A<優良B、良、普通、の傾向が見られるが、食味値の低いもののなかには施肥量がむしろ少ないものもあり、肥培管理が正当であったのかどうかと想像したくなるものもある。

図2)H12スミショート(産地II)コシヒカリの食味値と関係条件(住友化学、ケットAN-800型)
図2:H12スミショート(産地II)コシヒカリの食味値と関係条件(住友化学、ケットAN-800型)

あきたこまち、ひとめぼれ等9品種

1) 産地品種当りの分析点数が少ないものについては考察しにくい。件対数45点中、点数がまとまっているのは、ひとめぼれ21だけである。45点中、優良B9、良24、普通7、劣(64点以下)1点で、コシヒカリよりも食味値が低い。

品種 食味値
分級
産地等 点数 食味値 水分
タンパク
収量
kg/10a
N施用量(/10a)
総量
kg
基肥
kg
追肥
kg
スミショート
kg
穂肥II
kg
あきたこまち 70~74 広島 6 72.2 14.3 7.4 568 6 (SSR)4.9   1.1  
ひとめぼれ 70~74 宮城 11 71.4 13.5 7.3 586 5.8 SSR5.3   0.3 0.2
普通 65~69 群馬 6 67.3 10.8 7 (550) 5.5 SSR5.5      
~64 群馬 3 63.7 11.1 7.8 - 4.3 4.3      
  75~77 岐阜 1 62 11.9 8.5 600 9.1 4.2   【21】2.1 (実)1.4+
1.4
はえぬき 優良 70~74 山形 7 75.6 15 7 - 10.1 東日9.1   1  
75~77 1 74 14.7 7.3 - 10.6 7   2.1 1.5
さわのはな 優良 75~77 山形 1 76 15 7 - 7.4 東日6.0   【14】1.4  
ミルキー
クィーン
優良 70~74 山形 1 76 15 6.9 - 5.1 東日3.0   【21】2.1  
70~74 福島 1 73 12.6 6.6 - 4.8 4 0.8    
ヒノヒカリ 70~74 広島 3 74 14.7 7.4 - 7.8 SSR7.1   0.7  
朝日 70~74 岡山 1 72 13.9 7.3 600 8.1 5.3   【28】2.8  
ハツシモ 70~74 岐阜 1 70 13.3 7.4 480 7 SSR4.2   【28】2.8  
つがるロマン 普通 65~69 青森 1 66 12 7.8 600 9.7 6.5   3.2  
~64 1 62 12.4 8.7 660 9.8 SSR7.8     2

2) 食味値と関係が深いのは、タンパク(%)である。タンパク(%)は6.6~8.7%で、コシヒカリ(新潟・富山6.1~7.1)(他産地6.2~7.4%)に比べると、ばらつきが大きい。これは、10a当り施用チッソ量と関係があり、その4.3~9.8kgはコシヒカリ(新潟・富山5.3~8.2kg、他産地4.1~7.7kg)よりも多い。

また過乾燥(水分10.8~12.6%によって食味値を下げたと思われるものが良区分のところに1点、普通~劣のところに5点ある(玄米水分が14%以下になると、炊飯の粘りを悪くして食味を低下するといわれている)。

図3)H12スミショート等と品種米の食味値
図3:H12スミショート等と品種米の食味値

付記

H10産(新潟、山形、福島)コシヒカリと比べると、H12産コシヒカリは、極上が減少し、良が増えている。

極上と優良では、官能で明らかに粘弾性の差異がある。スミショート穂肥では、食味極上を目標として、改善努力をすべきであろう。

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