國武先生のコシヒカリ物語

~コシヒカリが世に出るまでから
今日的問題まで~

第8話 日本一おいしい米コシヒカリ

官能調査法による産地産米の食味

食味の官能調査法(農林省食糧研究所開発)は、多くの人が実際に食べた味を客観的に表示するために開発された、24人のパネルテスト方式で、近代統計学の手法で分析されるものである。基準米(滋賀日本晴1等品)に対して0、±1、±2、±3、と評価される。

図:産地産米の食味・産地分散(食糧庁:1978.80.82 平均、パネラー方式)

図は、食糧庁(1978, 80, 82平均)評価の産地産米の食味産地分散結果である。 品種それぞれに産地間のばらつきがあるが、コシヒカリ>ササニシキが日本晴にまさり、トヨニシキが劣っている。図の品種名の肩に全国の作付面積(1978→'82)を付してみたが、この年次は良食味品種への交代時期に当たっている。 食味の官能調査法は日本穀物検定協会において毎年行われ、特A, A, A'(滋賀日本晴と同等)、B, B',Cにランク付けされて発表され、これが流通上の産地品種米の評価に反映されている。コシヒカリの中でも新潟魚沼コシヒカリは連年特Aにランクされ、自主流通米の落札価格も最高値を保っている。

理化学的食味成分による食味値評価

官能調査のうまい米は、炊飯米の粘り、香り、色沢に優れているが、北海道農試の食味成分育種において、これと、玄米の蛋白質含有量とアミロース含有量の少ないことが密接な相関がある、とされてから、食味成分の研究と食味計の開発が盛んになり、現在各種の食味計が産地と消費地で用いられている。その数値の中で、適正成分を保っていること、蛋白質含有量とアミロース含有量が、新潟魚沼コシヒカリ同等に低いことが、うまい米の条件とされている。 アミロース含有量の品種間変動は年次・産地間により若干異なるが新潟県産品種は低アミロースの傾向にあるようである。 蛋白質含有量は、品種間差、産地間差があり、同一産地内でも土壌・気象(作期・年次)により差異があるといわれている。とくに、チッソ肥料の施用量、穂肥チッソの施用時期、量による差異が大きく、出穂期に近づくほど蛋白質含有量が高くなる。そのため、各県の栽培指針では、穂肥量を減ずるとともに、出穂期前10日以降の穂肥を禁じ、穂揃期追肥は論外としている。蛋白質含有量は玄米チッソ×5.95に相当することから、コシヒカリの玄米チッソを1.1~1.2%とするため、出穂期のSPAO値を30に止めるなどの指針が出されている。

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