國武先生のコシヒカリ物語

~コシヒカリが世に出るまでから
今日的問題まで~

第6話 コシヒカリ原々種は厳正に維持されている

色づいたコシヒカリ

来歴:

越南17号(コシヒカリ)は、福井県農業試験場から1953年雑種第8代(F8)、'54年F9、'55年F10種子が配布されたものである。新潟県農業試験場では、大規模の試験に試供するため、'54、'55年にその一部で系統栽培を行ってきた。1956年からコシヒカリを県奨励品種に採用したとき、これまで系統栽培してきたF11種子と、福井農試から配布されたF11種子から、新潟県コシヒカリ原々種を養成した。

原々種の維持:

1958年まで系統栽培、'59年から'69年まで原々種栄養株保存(冬は温室)、以降原々種子の3年貯蔵(低温種子庫)の反復、'58年から原々元種子の密鑵・低温種子庫で、永年貯蔵をして、現在に至っている。2000年における原々種はF26である。普及45年目であるが、原々種の世代は15代進んだだけである。

増殖と配布:

原々種は農業試験場(現、農業総研、作物研究センター)において原種として増殖(約250倍)される。原種は次年に、県指定採種圃において、種子審査員(農業改良普及員)と食糧検査官によって指導と審査・検査を受けた種子となり、種子産米改良協会により農家に配布される。2000年の農家作付けのコシヒカリはF29である。 特性維持:新潟県下の種更新率は70%以上とみられており、コシヒカリの栽培特性・品質・食味特性は厳正に維持されている。

(資料)新潟県農業総合研究所において取材

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