季節のご相談から

【「季節のご相談から」 ~ひげ仙人の農薬なんでも相談室~】その10.(熊本県の農家様)海外飛来性の秋ウンカに対して、従来の薬剤防除では十分でなく、坪枯れの被害も出ました。1成分で抵抗性トビイロウンカを含め水稲の幅広い害虫に効果のある水稲育苗箱処理剤が登録されたと聞きました。どの様な特長があり、どの様な混合剤が有りますか?

このコーナーでは、これまで弊社のお客様相談室に寄せられた農薬に関するお問い合わせから、解決方法や参考情報などをシリーズでお届けします。

熊本県の農家様
海外飛来性の秋ウンカに対して、従来の薬剤防除では十分でなく、坪枯れの被害も出ました。1成分で抵抗性トビイロウンカを含め水稲の幅広い害虫に効果のある水稲育苗箱処理剤が登録されたと聞きました。どの様な特長があり、どの様な混合剤が有りますか?

 日本で発生するトビイロウンカは6月から7月の梅雨時期に、梅雨前線の南側の強い南西風(下層ジェット気流)に乗って中国大陸から飛来します。飛来した成虫は1ヶ月程の期間で世代を繰り返し増殖していきます。 増殖力が高く3世代目には大変な高密度になり、吸汁害によって稲を枯死させ「坪枯れ」を引き起こします。出穂期以降に多発すると収量や品質に大きな影響を与えるため、「秋ウンカ」と呼ばれて水稲栽培での重要害虫となっています。大規模な被害を与えることがあり、江戸時代に起こった享保の大飢饉の原因とも考えられています。
越冬地のベトナム北部から中国の海南島以南の地域では、ネオニコチノイド系の殺虫剤に抵抗性を発達させており、その抵抗性ウンカが中国の華南地域~揚子江下流域で増殖した後、日本に飛来します。そのため、ウンカ防除には抵抗性を考慮した薬剤選択が必要になっています。
抵抗性トビイロウンカに効果を示す水稲育苗箱処理剤として、アレス箱粒剤をおすすめします。

 アレス箱粒剤は新規骨格を有する殺虫剤オキサゾスルフィルを有効成分とし、その特長としては、
・1成分でイネミズゾウムシ、イネドロオイムシ、ツマグロヨコバイ、ウンカ類、コブノメイガ等のチョウ目害虫、イナゴ類、カメムシ類、イネヒメハモグリバエ等の幅広い害虫に効果を発揮し水稲の主要害虫をカバーすることが出来ます。
・既存の殺虫剤に抵抗性示すトビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ、イネドロオイムシにも高い効果を示し、長期残効性を示す薬剤です。
・稲に対する安全性が高く、播種前(床土混和・覆土混和)から移植時まで幅広い時期に使用することが出来ます。

 アレス箱粒剤の適用害虫・使用時期 (最新の適用内容はi-農力の製品ページにてご確認下さい)
・適用害虫:イネドロオイムシ、イネミズゾウムシ、ウンカ類、ツマグロヨコバイ、ニカメイチュウ、フタオビコヤガ、イネツトムシ、コブノメイガ、イナゴ類、イネカラバエ、イネヒメハモグリバエ、カメムシ類
・使用時期:は種前(床土混和、覆土混和)、は種時(覆土前)~移植当日、移植時(側条施用)

 殺菌剤との混合剤も用意していますので、地域の病害虫発生状況に合った剤を選択することが出来ます。
・スタウトアレス箱粒剤(適用病害:いもち病、白葉枯病、もみ枯細菌病、穂枯れ、内頴褐変病 等)
・アレスモンガレス箱粒剤(適用病害:紋枯病)
・スタウトアレスモンガレス箱粒剤(適用病害:いもち病、紋枯病、白葉枯病、もみ枯細菌病、穂枯れ、内頴褐変病 等)
適用害虫や使用時期等は剤により異なりますので適用内容を確認の上、ご使用下さい。

 なお、トビイロウンカが多発する年は水稲育苗箱処理剤のみで被害を抑えることは難しいので、本田施用剤との体系処理が必要になります。


製品詳細に関しては以下をご参照ください。

「アレス箱粒剤」の
製品ページ

「スタウトアレス箱粒剤」の
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「アレスモンガレス箱粒剤」の
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「スタウトアレスモンガレス箱粒剤」の
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