季節は初夏──取材チームは、強い日差しが振りそそぐ梅雨間近の国東市へとやってきました。「たいしたことは話せんよ」と謙遜しながら私たちを迎えてくださったのは、優しい笑顔の荒木幸次さん。
荒木さんの果樹園では、奥様、ご長男の孝幸さんご夫婦とその息子さんをあわせた一家5人でメインの温州みかんなど4.5haのかんきつを手がけていらっしゃいます。昭和20年代にこの地に入植した先代が、開墾鍬などを使った手作業の開墾で一から園地を切り開いていったのだとか。
「なにしろ手開墾だから1年に10aぐらいずつ開墾して、かんきつを植えていったみたい。だから今でも農道がなくて、運搬の効率がよくないんだ。農道はこれからの課題ですね」。
かんきつの品質向上のために、こだわりの栽培方法に取り組む荒木さん。その方法は企業秘密とのことでしたが、高品質な良いものを生産するという強く確かな意志をそこに感じました。
そんな荒木さんのこだわりみかんの品質は、適期防除に支えられています。ロディー乳剤は、上市当初から愛用されている定番で、散布時期は5月上中旬の開花期と6~9月にかけて。
「開花期の散布は、ケシキスイやコアオハナムグリとかの訪花害虫とチャノキイロアザミウマが対象。こいつらにやられると果皮にキズができて商品にならないからね。でも、ロディー乳剤を散布しておけば、花の時期でも安心。被害のないきれいなみかんに仕上がるんだ」と荒木さん。訪花害虫はもちろん、カメムシへの効果にも大きな信頼を寄せていらっしゃいます。
「カメムシは梅雨時期以降に発生してくることが多いから、出たら早めにロディー乳剤をまくんです。散布した後、カメムシが落ちてるのが分かる。効くのが速いなぁって感じるね」。
こだわりのみかんは品質重視。効果の高い薬剤で適期防除をすることで品質が安定する、と荒木さんは言います。
「ロディー乳剤がないと、みかんの品質は確実に落ちる。ロディー乳剤は収益アップ、農業経営に貢献してくれている大事な剤だね」。荒木さんご一家のような技術をお持ちの作り手が、産地を支えている──大分のみかんが消費者に支持される理由は、そこにあるのかもしれません。