飛騨川と木曽川を抱く美濃加茂市の山ノ上町は、なしやかきなど果樹の産地として観光客にも人気が高いエリア。本日取材で伺ったのは、この町でひときわ人気が高く、週末には朝から50人以上の行列ができる「山口農園」です。なし70a、ぶどう80a、かき50aの農園を経営する園主の山口伸司さんは、「岐阜県病害虫防除所 病害虫防除指導」の資格もお持ちなのだとか。
山口さんは、予察灯やフェロモントラップで誘殺されたカメムシなどの害虫数を数えて、病害虫防除所や山之上果実農協に報告する業務を担当。取材で訪れた8月は、まさにクサギカメムシが多発生し、病害虫発生予察注意報が発令されたばかりのタイミングでした。
「クサギカメムシもそうだけど、多発生していちばん困っているのはチャバネアオカメムシだね。山でスギやヒノキの球果を吸い尽くすと里に下りてきて、なしを加害するんだ。だから、うちでは幸水、豊水、新高それぞれの収穫前あたりで、カメムシに効果が高いロディー水和剤を使ってるよ」と山口さん。山之上果実農協の防除暦への採用薬剤は、必ず山口さんが試験を担当しているそうです。
また、ヒメシンクイもカメムシと並ぶ重要害虫、と山口さんは以前を振り返ります。
「平成18年と25年に管内で4つの農園のなしが壊滅状態になるほどヒメシンクイが大発生したんだよ。だから、油断禁物なんだ。でも、ロディー水和剤はカメムシと同時にヒメシンクイも防除してくれるから安心感があるね」。ロディー水和剤は合成ピレスロイド剤の中でも特に優れた剤、と太鼓判を押す山口さん。その理由を伺ってみました。
「カメムシやシンクイムシなどへの効果がシャープだね。忌避効果も持ってるんじゃないかな。それに、収穫前日まで使えるから便利。 “ワンランク上の合ピレ剤”っていうイメーだね」。
近い将来は、娘さんたちと協力し合って6次産業化やカフェ併設などにチャレンジしたい、と話す山口さん。エネルギッシュで若々しいその姿を拝見していると、そんな日が来るのも遠くない気がします。