日本最大のツルの飛来地としても知られる鹿児島県出水市。車で走っているとツルの標識やオブジェがあちこちに現れます。そんなツルの里で4代に渡ってかんきつを手がけるのは、宮脇果樹園の皆さんです。現在、宮脇家の4代目にあたるご長男 聖さんと次男の拓巳さん、そしてお父様の正隆さんとお母様の4人で10haのかんきつを栽培。出荷組合や個人直販などを通じて販売していらっしゃいます。品種構成は、崎久保、田口、興津、宮川といった早生温州や甘夏、河内晩柑、デコポンなど。「安全・安心でおいしいものを、消費者の手が届きやすい価格で」が宮脇果樹園のコンセプトです。
そのためには何が問われるのか。まずお父様の正隆さんに伺いました。「まず園地選び。土質や排水性、日照条件などがポイントです。それとつくりやすい品種選びも大事」。正隆さんは「うちは他の果樹園とくらべて、かんきつの樹勢が弱い」と言います。というのも、ストレスをかけて食味を向上させるためなのだとか。「チッソを抑えめにした施肥体系で、灌水量も他園の半分程度。樹勢は弱くなりますが、糖度や食味が上がります」。
品質向上のために欠かせない病害虫防除について、いちばんの問題害虫はチャバネアオカメムシなどの「カメムシ」と皆さん声を揃えます。秋口に多発し、吸汁加害されると商品として致命傷につながるのだとか。
宮脇果樹園では、ローテーション防除の中で、5月中旬に1回、8月のお盆過ぎに1回、アグロスリン乳剤をスピードスプレイヤーで散布していらっしゃいます。
「カメムシ防除はアグロスリン乳剤が柱なんです。まず5月に散布して密度を下げておく。それでピークを迎える前の8月に2回目を散布します。これでばっちり抑えられる。5月の訪花害虫や夏場のチャノキイロアザミウマも同時に防除できる万能さも助かっていますね」と話すのは聖さんと拓巳さん。速効性による安心感はピカイチだよね、とお二人は顔を見合わせます。「アグロスリン乳剤を散布していると、途中でスピードスプレイヤーにカメムシが何匹も落ちているのに気付くんです」。
アグロスリン乳剤はお父様の代から活躍する宮脇果樹園の定番剤。害虫の抵抗性発達もなく、親子2代に渡って愛用されています。これからも「おしいいものを消費者に届けたい」という宮脇果樹園の想いを支え続けることでしょう。