河内晩柑発祥の地として知られる熊本県河内町。この町の島原湾を臨む南向き斜面でかんきつ栽培を手がけるのは、片山博文さんです。作業の合間を縫って園地にお邪魔しました。片山さんは就農30年目の専業農家。極早生の日南1号から早生、中生、そして晩生の青島温州まで奥様と2人で4haを管理していらっしゃいます。現在高校生の息子さんが後継者として園地を継ぐのを見越し、毎年10a程度ずつ老木の改植を進めていて、すでに1.5haは改植済みなのだとか。
そんな片山さんの園地の課題はカミキリムシ対策。被害は減る傾向にあるものの、幹の内部に食入した幼虫により木が食害されて枯れてしまうことも以前にしばしばあったそうです。
「対策として、ゴマダラカミキリの成虫が触れると糸状菌に感染して殺虫に至る微生物農薬テープを仕掛けたり、乳剤などの殺虫剤を散布して防除していましたが、木の中に食入してしまった幼虫には効果がないので被害は完全に抑えきれなかったんです」と片山さんはほぞをかみます。
ご親戚の農薬小売店 有限会社片山商店の紹介で、片山さんが昨年9月、カミキリムシ対策としてかんきつ全品種に導入したのがロビンフッドでした。片山さんは昨年、開花後に微生物農薬テープを設置し、その後は夏にかけて3回程度殺虫剤を散布、夏から秋にかけての摘果等の作業時に食入孔のフラス(木くずや糞が混じったもの)を見つけ次第、食入孔にロビンフッドをノズルで噴射しました。
「今年に入って新しい食入孔は見当たらないし、枯れてしまう木もありません。ロビンフッドがしっかり効いているっていう感じです。ホルダーに入れて腰から下げているので、摘果作業中に持ち歩くのがすごくラクなんです」。
ノズル式のエアゾール剤は、もし詰まりやトラブルでノズルが使えなくなると途中で廃棄しなければならないので、実際にロビンフッドを使ってみるまでは不安だった、と片山さんは言います。
「ロビンフッドはノズルの詰まりやトラブルで使えなくなることがありませんでした。途中で廃棄するムダがないのでその分コストダウンにつながっています」。
有限会社片山商店の片山社長には、「後継者問題の対策としてもかんきつの品質維持は重要な課題です。今年から来年にかけて、本格的にロビンフッドの拡販をはじめたい」とのお言葉をいただくなど、産地ブランドの成長に思いをはせるお二人でした。