季節のご相談から

【「季節のご相談から」 ~ひげ仙人の農薬なんでも相談室~】その7.(愛知県/茨城県の農家様)キャベツやはくさい、レタス等の葉菜の栽培農家です。秋冬作での菌核病の発生が多くなっています。菌核病に活性の高い薬剤と防除について教えてください。

このコーナーでは、これまで弊社のお客様相談室に寄せられた農薬に関するお問い合わせから、解決方法や参考情報などをシリーズでお届けします。

愛知県/茨城県の農家様
キャベツやはくさい、レタス等の葉菜の栽培農家です。秋冬作での菌核病の発生が多くなっています。菌核病に活性の高い薬剤と防除について教えてください。

菌核病は子のう菌類(カビ)のスクレロチニア菌により引き起こされ、キャベツやはくさい等の葉菜類、小豆などの豆類、トマトなどの果菜類等、多種類の植物に感染する多犯性の病害です。気温15℃~20℃で多湿条件下に発生が多くなります。発病株は植物上に菌核を生じるようになり、この菌核が土壌中に残り感染源となります。地表面近くの菌核は子のう盤を形成し、子のう盤から子のう胞子が飛散し、胞子は茎葉の傷口や下葉などから侵入し感染します。また土中の菌核から伸びた菌糸が茎葉の傷口などから侵入感染し、隣接する株にも伝染します。

キャベツでは結球期から発病し始めます。下葉の葉柄基部近くに水浸状の不規則な病斑を生じ、やがて結球部に拡大して、結球の一部又は全体に灰白色に腐敗が広がります。病斑部には白いカビが発生しネズミの糞の様な黒い菌核が出来ます。この菌核が土壌中に残り感染源となります。はくさいやレタスでは地表面に接する下葉から発病します。はくさいでは外葉の葉柄基部に水浸状の病斑を形成し、やがて軟化腐敗します。病気が進むと腐敗は心葉まで進みます。レタスでは地際の葉基部や地面に接している葉裏に水浸状の病斑が発生し、茎や葉基部が軟化腐敗し、やがて結球内部に腐敗が進み菌核を形成するようになります。 

菌核病は植物体が繁茂しだすと発病し、結球部に広がり大量の菌核が作られると防除が困難になります。結球開始前の予防散布や結球初期の早期防除が大事となります。特に早期防除では浸達性を有し治療活性に優れる薬剤での防除が必須です。

スクレアフロアブルはストロビルリン系(QoI剤)の薬剤ですが、従来のQoI剤とは殺菌スペクトラムが異なり、QoI剤の中では菌核病に対して優れた効果を示す薬剤です。予防効果だけでなく、植物体への浸達性に優れるために、既に感染した菌に対しても活性を示し、治療効果(病斑進展阻止効果)を示します。浸透移行性と耐雨性もあるので安定した効果を示し、また多くの作物で収穫前日まで使えますので菌核病の基幹防除剤としてご使用になれます。

キャベツでは、上述のように感染部位が下葉の葉柄基部なので、予防散布でも初発時散布でも結球開始期前から株元に薬液が十分かかるように薬剤散布を行う様にします。結球開始期前からスクレアフロアブル、ベンレート水和剤等の薬剤を10日置きにローテーションして2-3回散布します。なお、感染初期にはストロビルリン系などの治療活性のある薬剤を使用すると効果的です。被害株は2次伝染源となるため、早く抜き取り処分します。

はくさいの感染部位は外葉の葉柄基部で、レタスの感染部位は地際の葉柄基部や地面に接している葉裏です。下位葉が繁茂しだした時期や下葉に病斑が発生したり、葉柄基部に水浸状軟化腐敗が生じたら直ちに薬剤散布を行います。また秋冬どり栽培では、長雨が続くと菌核病の多発が予想されますので、発病前から予防散布を行います。

はくさい、レタスでは、生育初期~結球期にスクレアフロアブル、ベンレート水和剤等の登録のある薬剤を7日~10日おきに数回ローテーション散布します。地際部の葉柄基部に薬剤が十分かかる様に、株元に薬剤散布を行います。

菌核病の防除は薬剤だけでは不十分なので、耕種的防除と組合せて行うようにします。菌核は土壌中で数年間生存しますので、菌核病の多発圃場での連作を避けるようにします。伝染源となる発病株は早めに抜き取り、胞子や菌核を飛散させないように圃場外で処分を行い、伝染源となる菌核を圃場に残さないようにします。

菌核は地表近くに存在しますので、作付け前に天地返しを行うことにより(深さ10㎝以上が望ましい)、地表近くの菌核を地中深くに埋め込み、子のう盤の形成を抑えることが出来ます。湛水条件では菌核は死滅するので、夏期高温時に圃場を一定期間(10日~20日間)湛水処理状態にすることにより、発生のリスクを減らすことができます。菌核から発芽した子のう胞子が伝染源になるので、ポリマルチを行い子のう盤の形成や胞子の飛散を抑えることも有効な防除法です。

以上のように、スクレアフロアブルなどの薬剤防除に耕種的防除や物理的防除を組み合わせることで、高品質、多収に挑戦してください。


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