季節のご相談から

【「季節のご相談から」 ~ひげ仙人の農薬なんでも相談室~】その6.(長野県の農家様)キャベツや白菜等の葉菜類の栽培農家です。秋冬作での軟腐病の発生が多くなっており困っています。防除における注意点やおすすめ薬剤について教えてください。

このコーナーでは、これまで弊社のお客様相談室に寄せられた農薬に関するお問い合わせから、解決方法や参考情報などをシリーズでお届けします。

長野県の農家様
キャベツや白菜等の葉菜類の栽培農家です。秋冬作での軟腐病の発生が多くなっており困っています。防除における注意点やおすすめ薬剤について教えてください。

軟腐病は土壌伝染性の細菌による病害で、キャベツや白菜、ネギ、ジャガイモ、トマト等の幅広い種類の野菜類に発生します。増殖力(病原性)が強く急速に増えて組織を軟化・腐敗させます。

病原細菌は主として寄主植物の根圏土壌中に生息し、潅水や降雨などによる土壌の跳ね返りにより地表面から下葉に飛散して茎葉に付着し、昆虫による食害や風雨により生じた傷口や気孔から感染します。土壌水分が多く、空中湿度の高い条件で発生しやすくなります。

白菜の生育初期の発生では、下葉から萎凋し株全体が枯れる様になり、生育後期の発生では葉や葉柄に水浸状の病斑ができ、病徴が進むと軟化腐敗して悪臭を発するようになります。キャベツでは結球してから発生することが多いのですが、初期には水浸状の小斑点を発生させ、短時間で病徴を進展させて病斑部は褐色となり、最後には株全体が腐敗します。結球前に発病する場合は、下葉の葉柄基部から発病して萎凋・黄変します。

軟腐病は発病した後での防除は困難です。病徴が進展してからの薬剤散布では抑えきれません。予防的に、または発病を見たら直ちに防除することが大切になります。おすすめの防除法としては、降雨や強風の前後に感染防止を目的として、耐雨性のあるスターナ水和剤に展着剤を加用して散布します。スターナ水和剤はオキソリニック酸を有効成分とし、銅剤や抗生物質とは異なるタイプの植物細菌病防除剤です。病原細菌の増殖抑制効果(静菌作用)を示すので、予防的に、または発病初期に散布することにより細菌の感染・増殖を抑え高い効果を示すことが出来ます。

白菜、キャベツでは、結球してからの散布では茎葉が繁茂し、薬剤が感染部分に届きにくくなります。初期予防防除が大事ですので結球する前から定期的にスターナ水和剤や銅水和剤、バリダシン液剤5などを組み合わせて体系で散布します。

白菜には結球期頃に降雨による土壌のはね返りで発生が助長されるので、下葉裏面の基部にも薬剤が十分かかる様に、7日~10日おきに展着剤を加用して散布します。キャベツでは株全体に散布しますが、下葉の基部にも十分に散布し、特に結球開始期からは下葉と結球葉の間にもかけむらの無い様に、7日~10日おきに展着剤を加用して散布します。

尚、スターナ水和剤はキャベツ・白菜の黒斑細菌病にも適用があります。黒斑細菌病は軟腐病と同時期に発生しますので、スターナ水和剤は両方の病害の同時防除が可能です。

軟腐病は薬剤だけでは十分な効果を得るのが困難なので、耕種的防除と組み合わすことが重要です。菌密度を上げない様に、連作や前作で発生のしやすい作物の栽培を避けるようにします。発病株があると周囲の株にも感染が急速に広がりますので、見つけ次第抜き取り、圃場外で処分します。畑の排水を良くし雨水や潅水が停滞しないようにすることも大事です。病原細菌は傷口から感染しますので、管理作業で作物に傷をつけない様にすることや害虫防除も感染防止の点からは大事です。

まだまだ高温多湿が続き、また台風の飛来も多い9月、10月は、ネギ等の野菜類にも軟腐病が発生します。軟腐病は発生しますと防除が困難になりますので、早めにスターナ水和剤やナレート水和剤・バリダシン液剤5で予防的に防除することに努めましょう。


製品詳細に関しては以下をご参照ください。

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