農業TOP EYE

「農業TOP EYE」は、経営・農業機械・人材教育・販売などをテーマに、多彩な業界のキーパーソンにインタビューし、農業経営に役立つ情報をお届けするコーナーです。

『SDGs(持続可能な開発目標)』と農業をテーマにした特集の第2回目は、「SDGsと持続可能な農業」のポイントをより具体的な成功事例でご紹介します。前回に引き続き、元ローソン・ジャパン社長で、「全日本農商工連携推進協議会会長」「地域活性化伝道師」「六次産業化プランナー」「SDGsソーシャルデザイン協会代表理事」など多彩な顔を持つ(株)都築経営研究所代表取締役の都築冨士男氏にお話を伺いました。

環境保全や地産地消などSDGsと『持続可能な農業』について考える。

株式会社 都築経営研究所
代表取締役
都築 冨士男
プロフィール
ローソン・ジャパン社長や株式上場企業社長を経て(株)都築経営研究所を設立。農業・農村を応援することを目的とした雑誌「農業応援隊」発行人、元新潟県農業大学客員教授。ローソン・ジャパン時代は倒産寸前のコンビニエンスストアLAWSONを再建し、当時80店舗しかなかった店舗数を、在籍中に3000店舗まで拡大。日本を代表するコンビニエンス・チェーンに急成長させた。

取材日:2021年12月14日

「SDGs」における農業の役割について教えてください。

「SDGs(持続可能な開発目標)」は、国連サミットで採択された世界の目標のことで、貧困・飢餓、経済成長、気候変動など21世紀の世界の課題を掲げ、2030年までに達成すべき「17の目標と169のターゲット」で構成されています。

このSDGsの目標達成のために農業が果たす役割は重要で、特に目標2に掲げられた「飢餓をゼロに」を実現するために問われるのが、『持続可能な農業』の推進と言えるでしょう。この『持続可能な農業』を進めていくためには、大事なポイントが3つあります。まず一つ目は、「有機栽培の推進など、環境保全型農畜産業の拡大」。日本では、農林水産省の30年先を見据えた長期的なビジョンである「みどりの食料システム戦略」により、現在0.5%しかない有機栽培の比率を2050年までに25%まで増やすことが目標に掲げられました。ポイントの二つ目は「フードマイレージの削減」。フードマイレージとは「輸入食料の重量×輸送距離」のことで、日本のフードマイレージは米国の3倍もありダントツの世界一です。こうした輸送の際に排出される二酸化炭素を減らすためには、輸入品を国産に置き換えること、地産地消を進めることが肝要と言えます。三つ目は「食品ロスの削減」で、農業現場では落葉果樹の摘果や、規格外野菜の廃棄など大きな食品ロスを生んでいることが課題となっています。

都築氏が代表を務める(一社)SDGsソーシャルデザイン協会(https://sdgssda.or.jp/)では、SDGsの普及・教育事業を行っている SDGsのアイコン(目標 2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する)
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持続可能な農業のポイントの一つ目、「環境保全型農畜産業の拡大」について具体的な事例を教えてください。

「環境保全の例で言うと、畜産で肥育される牛では、1kgの肉をつくるのにその餌として約11kgのとうもろこしが必要になる。主に米国で大量生産されるとうもろこしの栽培には、大量の水が必要で将来的な地下水の枯渇が問題視されています。こうした課題の解決策の一つとして「ダチョウ」の飼育が注目されていて、ダチョウの餌は雑草などで、穀物は不要です。食肉はヘルシーな上、皮はバッグにするなど捨てるところがない。肉牛は年間に1頭しか子牛を産みませんが、ダチョウは年間30〜40個の卵を産むので生産性が高いのです。例えばダチョウのヘルシーな肉でつくったハムをサンドイッチにすれば、付加価値が生まれるので地域活性化にも適しています。南アフリカに大きな産地がありますが、日本でも茨城や北海道の畜産農家がダチョウを手がけているようです。

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ポイントの二つ目、「フードマイレージの削減」の具体的な成功事例はありますか。

フードマイレージを減らすためには、輸入品を減らし地産地消を進めることが有効です。地産地消の例として、焼肉のタレに使われている輸入ニンニクを規格外の国産ニンニクに置き換える取り組みがあります。これは、農業機械メーカーの技術指導のもと兵庫県で工場勤務の兼業農家の方々が30haのニンニクを生産し、正規の販売ルートに乗らない規格外商品を、焼肉のタレを製造するメーカーに供給する仕組みを作ろ

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