住友化学株式会社
常務執行役員
アグロ&ライフソリューション部門 統括
片山 忠
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住友化学株式会社 |
| 常務執行役員 アグロ&ライフソリューション部門 統括 |
| 片山 忠 |
新春の候、皆様におかれましては益々のご健勝のこととお慶び申し上げます。平素より格別のご高配とご支援を賜り、住友化学アグロ&ライフソリューション部門を代表して心より御礼申し上げます。
昨年は国内農業が多面的な課題に直面した1年となりました。気候変動に伴う高温・少雨・長雨の頻発、肥料・資材・物流コストの上昇、労働力不足の継続等により、生産現場における負荷が増大しました。
さらに米の供給不安が顕在化したことを受け、主食である米の安定供給は、消費者の生活基盤、地域経済、そして国内農業の持続性に直結する重要課題であり、関係者全体として継続的な対応が求められます。
当社はこのような情勢を踏まえ、化学農薬、バイオラショナル※、デジタルサービスを柱とする総合的なソリューションの提供を通じて、お客様とともに課題解決に取り組んでいます。
まず化学農薬分野では、開発パイプライン「B2020」におけるすべての農薬登録が完了し、今後は混合剤の応用開発や作物、病害虫への適用拡大を一層推進していきます。
昨年5月に上市しましたピリダクロメチルを有効成分とする新規の殺菌剤「フセキワイドフロアブル」は、いちごやきゅうり等のうどんこ病に優れた効果を示し、トマトの葉かび病、すすかび病などに対しても高い効果を示し、ご好評をいただいております。
また、有効成分オキサゾスルフィルは、水稲育苗箱施用剤「アレス」シリーズとして展開するとともに混合剤の開発も進めています。
加えて、有効成分インピルフルキサムを含有する殺菌剤「カナメフロアブル」はこれまで主に果樹分野でご使用いただいておりましたが、今後はねぎやキャベツ、はくさいなどの葉菜分野、トマト、きゅうりなどの果菜分野への普及拡大を図っております。
バイオラショナル分野では、アグロ事業部に新設した「サステナブルソリューション部」において、バイオスティミュラント(以下、BS剤)への本格参入を開始しました。
同部で扱う光合成代謝を活性化するシアノバクテリア由来のBS剤「NOVITEK」(ノビテク)は、パナソニックホールディングス株式会社が2019年に発明し、基礎研究を行った後、2022年より住友化学との共創活動により実用化を進めてきたBS剤で、作物の健全な生育支援や品質・収量の安定化に資する次世代型ソリューションとして位置づけています。
その他にも、ぶどうをはじめ柑橘やトマトなど様々な作物で「成長促進」「発芽促進」「老化防止」「開花促進」「無種子化」の効果がある「住友ジベレリン」剤やぶどうの着色が向上する「アブサップ液剤」など植物成長調整剤の推進を図っています。
また、「楽一」に代表される高機能性肥料も取り扱っており、豊富な製品ラインアップをお客様へ提供しております。
加えて、当社は製品のみならず、営農活動を支援するデジタルサービス分野を重要な領域と位置付けています。
住友化学の農業総合情報サービス「つなあぐ」は、病害虫発生情報アプリ「むしきんコール」、施肥量計算アプリ「肥料のミカタ」等、スマートフォンでいつでも手軽に利用できるアプリ群と、農業関連の当社webサイトを統合したプラットフォームです。
つなあぐ会員の皆様には、アプリ等の情報閲覧や機能利用でポイントが貯まる、独自のポイントサービスも提供しており、楽しみながら便利でお得に活用できる新たな農業コミュニティの創出を目指しています。
さらに、その中核コンテンツである「i-農力」は、当社の農薬、肥料に関する製品の基礎情報、適正使用の解説、季節ごとの推奨製品、農薬、肥料に関わるQ&A等、営農に必要な情報を体系的に整理した情報サイトで、生産者また流通・関係者の皆様が、情報に迅速かつ正確にアクセスできるよう、内容の更新と検索性の向上を継続的に実施しています。
昨年の3月には、「スミカ ドローンサイト」をi-農力上に開設し、今後の国内農業に欠かせない農業用ドローンの農薬散布に関わる注意点やドローン散布に適した当社の農薬製品の紹介などを行っており、加速していくスマート農業への情報支援についても強化しております。
今後につきましても、化学農薬、BS剤を含むバイオラショナル、デジタルサービスという複数領域を組み合わせ、生産者・流通・関係機関の皆様が直面する課題に対し、より高い実効性を持つソリューションの提供を目指してまいります。
結びに、皆様の営農が本年も安全かつ安定的に遂行されますことを祈念申し上げるとともに、引き続き、「i-農力」のご活用を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
※住友化学グループでは、天然物由来などの微生物農薬、植物成長調整剤、根圏微生物資材、ボタニカル殺虫剤やそれらを用いて①農作物を病害虫から保護する、②農作物の品質や収量を向上させる、③公衆衛生や環境衛生に貢献できるソリューションをバイオラショナルと定義。