原産地は中国北部。当初は半結球性のもので、北京付近・山東半島中心に発展しました。明治8年に勧農寮内藤新宿試験場で栽培(結球山東白菜・愛知白菜の起源)されましたが、採種しても他の葉菜類と交雑して採種困難から普及しませんでした。
日清(1894・1895)日露(1904・1905)の両戦役に従軍した兵士が国内に持参。 当初は他の菜類と交雑して種子が雑パク化しましたが、隔離採種の方法が解決してからは全国に普及。 仙台伊達耕種園 沼倉吉兵衛、宮崎洋行、青島総領事館の努力により、現在の中国では紹菜(タケノコ白菜)が多く見られます。
愛知県に土着した山東系早生(愛知県早生白菜に発展)は葉重型の典型。宮城県に土着した芝罘(チーフー)ハクサイから育成された松島白菜は葉数型の典型。暖地に土着した晩生包頭連には代表的な品種として雲仙ハクサイがあります。芝罘×包頭連で葉数葉重型の加賀白菜を松下仁右衛門が育成し、それが京都に渡り、典型的な日本標準品種「京都3号」となりました。
戦後の元祖下山千歳(芝罘×包頭連)=ウィルスに強い。 農水省育成種の平塚1号(合成ナプス=ハクサイ型K2-2×松島新2号を交配→後代固定。
軟腐病・ウィルス病・根こぶ病・白斑病などハクサイは病害の巣窟です。軟腐病は台湾ハクサイ(捲心)を利用、軟腐病は病害の項で詳説します。捲心は軟腐病には強いがウィルスには弱いです。ウィルス(モザイク病)は同じ地方でも地域で発病に大きな差があります。新潟市の濁川は良くできても阿賀野川を隔てた大形では栽培が良くできません。有翅アブラムシの生育によります。根こぶ病はカブに由来する抵抗性素材を利用=CR系品種。
当初は結球葉の固い品種が多かったのですが、現在は大きく改善しました。根こぶ病抵抗性も次第に常識化しています。写真は有名3社の推奨品種を紹介します。
原因は亜硝酸の蓄積で品種によっても抵抗性が異なります。
ほう素は酸性で溶出しアルカリ性で不溶性に。 始末が悪い砂質土壌=通常0.1~0.2%含有の肥料で良いのに海岸砂丘地など0.5%も必要とするところもあります。
原因はカルシウム欠乏症です。石灰類の施用と適湿を保ち、カルシウム剤の葉面散布も重要です。
暖地一般平野部での播種適期は秋まきで8月上旬から下旬まで、それ以上の早まきは耐病性品種を採用します。
逆に遅まきは霜の遅い地帯でないと無理です。また、早まきは軟腐病やウィルス病が多発します。
東日本では秋作の出荷が本格化する10月20日が価格の変換点です。
ハクサイは種子代が高いこと、直播では病害虫にやられ易いことなどから、育苗するのが普通です。
しかし根鉢を崩し易いセル成形苗、短期間の育苗しかできないプラグ苗より、普通のポリポットのほうが育苗しやすいです。ハクサイはキャベツに比較して根が弱いことを十分考えてください。
同じ大きさのポットであればキャベツより10日間は育苗日数が短くなります。10cm(3寸)鉢では、キャベツは30日ですが、ハクサイは20日です。以下の点にご注意ください。
10aあたり、畦巾60cm(120cmで2条だきうね)または80cm、株間30~40cmで3000~5500株程度になります。最近は核家族で余り大球は喜ばれないので、4000~4500/10a程度が無難です。
早まき早どりのほうが収入が多いことから、どうしても無理をして早まきになりがちです。以下の点にご注意ください。
ハクサイは本来キャベツと同様の吸肥パターンをたどり、まず外葉をのびのび育てることが必要です。大きく異なることは、ハクサイは25℃以上の高温に弱く、また根が基本的に弱いことです。目標単収は8トン/10a(キャベツは6トン/10a)と生産能力は大きいものがあります。ハクサイはほう素欠乏に弱く、多くの畑では0.1%~0.5%入りのほう素含有肥料を使用するのが普通です。品種によってほう素欠乏症状の出やすいものと出難いものとがあります。昔、農家で家畜を飼っていた時代は、ほう素欠乏症は非常に少なかったです。
住友化学の従来の施肥法は、何れもほう素を0.2%含有する、「このはな印UF化成」を元肥にし、「硝燐加特2号」を1回追肥する方法で問題なく経過してきました。
しかし全量施肥の一発施肥では、やはりほう素を0.2%含有する、被覆尿素等の配合のSSR肥料が発売されました。
淡路島などの早春出しには、「スミカエース1号」と「EXスミカエース14」の組み合わせで、全量元肥の3月出し(立ち毛のままの圃場貯蔵)の色の良いハクサイ栽培に成功しています。従来「スミカエース1号」や「EXスミカエース14」は、ハクサイに不適と考えられていましたが、利用法で大きく発展しました。
施肥の方法と 肥料の銘柄 |
元肥+追肥 元肥「このはな印UF化成」 追肥「硝燐加特2号」 |
一発施肥(SSR) 全量元肥「葉菜根菜072L」 |
一発施肥(DCS入り) 全量元肥「スミカエース1号」 +「EXスミカエース14」 |
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用途と特長 |
いずれの肥料もほう素を0.2%含んでいるので、安心して栽培ができます。 また「このはな」は若干の緩効性肥料を含み、「硝燐加」の硝酸態は全チッソの1/4でマイルドです。 |
ほう素欠乏症状がで易い地帯のダイコンやハクサイの全量元肥栽培用に設計されたスーパースミコート肥料で、各時期に効果をあらわす被覆尿素が上手に配合されています。 |
淡路島のような3月頃まで畑に立ち毛貯蔵をして、しかも青々したみずみずしいハクサイを出荷する為の特殊設計。 「EX14」のDCSは「1号」でやや薄まるがハクサイ栽培にはちょうど良いです。 |
使用法 |
まず石灰資材や堆肥を散布し荒起こしをしたあと、「このはな印UF化成」10aあたり7袋(140kg)を全園に散布し全層に良くすき込みます。 追肥は結球始め期に3袋(60kg)を外葉を傷めないように畦間に施用します。 全NPKは(32.0-18.8-28.0)、B=0.2%/袋 |
まず石灰資材や堆肥を散布し荒起こしをしたあと、「葉菜根菜072L」を10aあたり6~7袋(120~140kg)を全園に散布して全層によくすきこみます。 追肥の必要はありません。全NPKは(24.0-20.4-14.4)~(28.0-23.8-16.8)となります。 |
まず石灰資材や堆肥を散布し荒起こしをしたあと、「スミカエース1号」2袋(40kg)と「EXスミカエース14」14袋(210kg)を同時に全園に散布し全層によくすき込みます。 全NPKは(36.6-33.4-35.0)となります。 |
注意点 |
海岸砂丘地や、砂土の場所ではほう素(B)をこれ以上加えます。 火山灰土壌のような燐酸吸収係数の高いところでは、燐酸分を加えます。 |
3要素の中では燐酸・カリが少なく特にカリが欠乏しています。 今多くの畑がカリ過剰ですが、ハクサイは栽培後期にかなりカリを吸収しますので、連用地ではカリ補給を行ってください。 |
火山灰土壌のような燐酸吸収係数が高いところでは、燐酸分を加えます。 また「スミカエース1号」はほう素を含まず、「EX14」も01%含有ですから欠乏地帯では補給してください。 |