農家さん訪問記

(第146回)2023年10月27日取材
2024年1月22日掲載
千葉県富里市 齋藤 彰規 ( あきのり ) さん
厳しい選別で
市場から高評価。
トマト産地の
エースが明かす
A品率アップの理由とは!?
予防、治療効果で葉かび病、
すすかび病などを
しっかり抑えるニマイバー水和剤。
皆さんは千葉県の丸朝スイカをご存じだろうか。日の出のデザインが印象的な丸朝園芸農業協同組合のマークを、市場やスーパーの店頭で見かけたことがある方も少なくないだろう。
同農協でスイカとともに主力品目となっているのが「丸朝のトマト」である。高品質な夏秋トマトが有名で、とりわけ選別が厳しいことでも知られている。記録的な猛暑を乗り越え、トマトを出荷し続ける同農協トマト部会の部会長、齋藤彰規さんにお話を伺った。
丸朝園芸農業協同組合のマーク

選果場で13人の
“選別のエース”が活躍

丸朝農協では、主力の夏秋トマト以外に、春トマトも栽培
丸朝農協では、主力の夏秋トマト以外に、
春トマトも栽培

農産物の販売を専門とする農協は全国でも数少ない。そのひとつである千葉県の丸朝園芸農業協同組合(以下「丸朝農協」)は、400名近い組合員を抱え、スイカ、トマト、にんじんなどを主力品目としている。「丸朝スイカ」は産地ブランドとして市場に定着していて、スイカで名高い富里地区の組合員も多い。

主力品目のひとつであるトマトでは、42名が部会を構成し、高品質な夏秋トマトの出荷にお互いが切磋琢磨している。丸朝農協のトマトの最大の強みは、大型選果場で行われている“厳しい選別”による。等級はAからDまでで、さらにそれぞれ大きさ別に規格が分かれており、トータル8ランクに選別されて出荷される。

他産地のように機械選別は導入せず、あえて100%人間の眼で選別作業を行っている。その厳しい選別を行っているのが、選別のエースともいうべき選ばれた13人のベテランスタッフだ。裂果や細かなキズはもちろん、トマトの肌質、色味、形など機械選別ではスルーしがちな微妙な差を見つけ出し、確実にランク分けしていくその磨き抜かれた“選別眼”はまさにエースの技といえよう。

厳しい選別が評価され、
高値で取引

齋藤さんのハウスでは、大玉トマト(桃太郎ヨーク、麗月)を栽培
齋藤さんのハウスでは、
大玉トマト(桃太郎ヨーク、麗月)を栽培

同農協で大型選果場を立ち上げたのが25年ほど前のこと。それ以来、厳しい選別は丸朝トマトの評価を高める大きな要因となり、今では東北から関西までの幅広い卸売市場に出荷されている。農業歴30年の齋藤さんは、この大型選果場の立ち上げと同時に25年にわたりトマトを手がけており、現在はトマト部会の部会長も務める“産地のエース”だ。

「他の産地と比べてかなり選別が厳しいので、卸売市場でも高値で取引されています。ランクがクリアになっていれば、市場も販売がしやすいからね」と齋藤さんは言う。

夏場は毎日の灌水を欠かさない

取材当日は10月下旬。「今年は猛暑でハウスに入るのが特に大変だった」と齋藤さんは振り返る
取材当日は10月下旬。
「今年は猛暑でハウスに入るのが特に大変だった」と
齋藤さんは振り返る

夏秋トマトの栽培スケジュールは、7月上旬に定植、8月下旬から11月下旬まで収穫が続く。14棟のハウスで大玉トマト35aを栽培する齋藤さんは、自家育苗の品種と購入苗の品種を半分ずつ栽培している。

「灌水は一番重要。8月下旬以降は1日おきだけど、それまでは1日1回灌水チューブで灌水する。特に今年は暑かったから、毎日水をやった方がトマトの調子がいいんです。それと、品種の選定も大事。うちの部会で採用している品種の中には、裂果が出やすい品種があって、特に今後は夏場の猛暑が予想されるから、耐暑性のある品種に替えていくことも検討しなきゃいけないね」と齋藤さん。これからの品種選定はトマト部会としても産地の価値を向上させていく重要な課題だ。

灌水、品種選定とともに高品質なトマトに欠かせないと齋藤さんが強調していたのが、病害虫防除。夏期は1週間に1回の防除は欠かさず、防除の際には液肥を混用して葉面散布を行っているのだそうだ。

10年前は葉かび病、
すすかび病で1割減収

防除の際、2回に1回はハウス側面から中央に向かって散布、が齋藤さん流
防除の際、2回に1回はハウス側面から中央に向かって散布、が
齋藤さん流

齋藤さんが防除のメインとして考えている問題病害は、葉かび病、すすかび病、灰色かび病や、コナジラミがウィルスを媒介する黄化葉巻病。10年前には葉かび病、すすかび病の被害で1割以上減収になったという。9~10月は雨が多く、ハウス側面のカーテンも閉め気味になるので、どうしても湿度が高くなって、葉かび病やすすかび病が発生しやすくなるのだそうだ。

「ハウスの中の防除って、中央の通路を歩きながら散布するから、どうしてもハウスの側面に近い奥の方は薬剤が届きにくくなっちゃう。だから、2回に1回はハウスの側面側から中央に向けて散布するようにしています」。

ニマイバー水和剤を導入し、
以前の課題が解消

収穫前日まで使用可能なニマイバー水和剤

齋藤さんは葉かび病、すすかび病対策として、3年前にニマイバー水和剤をはじめて導入。その背景について、病害虫防除の若きアドバイザーである丸朝農協の熱田賢俊さんは、こう語る。

「ニマイバー水和剤は、ジエトフェンカルブを含んだ2成分剤なので、効果の高さは以前から実証済みでした。管内の試験で、ニマイバー水和剤に機能性展着剤を加用すると、トマトの白い汚れが分からないほどになったので、『これは使いやすい!』ということで早速導入したんです。ニマイバー水和剤は収穫前日まで使えるので、使い勝手が格段にアップしました」。

果実の生育初期と中期に予防散布。台風後の治療効果も

「ニマイバー水和剤は、予防はもちろん、万が一の場合の治療効果も見逃せない」と話す
「ニマイバー水和剤は、予防はもちろん、
万が一の場合の治療効果も見逃せない」と話す

夏秋トマトのシーズンを通じて、異なる系統とのローテーションの中で、ニマイバー水和剤を3回、動噴で散布するという齋藤さん。トマトを手がけて25年の“エース”がその予防効果の高さに太鼓判を押す。「とにかく予防効果が抜群だから、主に果実の生育初期と中期に散布するんだ。病気は出さないことが大事でしょ。出ちゃったらなかなか止められない。ニマイバー水和剤は、葉かび病、すすかび病、灰色かび病をきっちり予防してくれるから、安心です」。

収穫期が8月から11月の夏秋トマト栽培でどうしても避けにくいのが、台風や大雨。湿度が高まり病気が避けられなくなる環境の中で、齋藤さんと熱田さんが評価するのがニマイバー水和剤の治療効果だ。

「台風とか大雨のあとに、葉かび病とかの症状が出ちゃってもニマイバー水和剤をかけると、症状が止まって広がらないのが目で見てわかる。だから万が一のときにも安心です」と二人は口をそろえる。

「ニマイバー水和剤は、予防はもちろん、万が一の場合の治療効果も見逃せない」と話す
齋藤さんは、3年前からニマイバー水和剤を愛用

ちなみに、丸朝農協ではトマト以外にも「丸朝スイカ」が有名だが、ニマイバー水和剤はスイカにも適用があるので重宝するそうだ。齋藤さんも昨年からスイカの防除で使用している。

また、害虫対策としては、ベストガード水溶剤やディアナSCなども愛用している。ベストガード水溶剤は黄化葉巻病をもたらすコナジラミ類に強く、ディアナSCによってアザミウマ類が少なくなった、とその印象を教えてくれた。

予防効果がA品率向上に貢献

丸朝園芸農業協同組合の熱田賢俊さん(右)と鈴木保徳さん(左)は、齋藤さんの良き相談相手
丸朝園芸農業協同組合の熱田賢俊さん(右)と
鈴木保徳さん(左)は、齋藤さんの良き相談相手

「ニマイバー水和剤は、他の殺菌剤よりもちょっと高めだけど(笑)、予防剤として使っておけば収量とかA品率に跳ね返ってくる。リターンの方が大きいのです」。現在のシーズン反収は3.5~4トンで、A品率は確実に向上しているのだという。

高品質なトマトを市場に届けるために──
これからも、“産地のエース”と“選別のエース”、そして丸朝農協の若い力が手をとりあい、産地を支えていくに違いない。

今回ご紹介した製品

ニマイバー水和剤
ニマイバー水和剤
ニマイバー水和剤の
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